梵我一如の先

恥と痛みは誰が為に。

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炎症性疾患(アレルギー含む)の根本原因(徹底考察)

 

 

喘息やアトピー、花粉症や慢性鼻炎など、生活習慣病や現代病とも言われる、アレルギーその他の炎症性疾患。

体のどこで炎症が起きてるかによって病名が変わるだけで、ほぼ全ての「病気」と言われるものは、炎症。

胃炎、腸炎、肺炎、関節炎、腹膜炎、髄膜炎、腱鞘炎、脳炎虫垂炎咽頭炎、皮膚炎、膵炎、膀胱炎、腎盂炎……etc。

痛い、痒い、苦しい、しんどい、痺れ、不快……これらの症状は、何かが神経に干渉してるか、筋肉・粘膜・臓器・皮膚の炎症。

そもそも炎症は、なんらかの異物を体から出そうとする、体の免疫反応だということは、知ってる人も多いと思う。

ただ、免疫には大別して2種類ある。
細胞性免疫と液性免疫。
Th1とTh2と言う。
(ヘルパーT細胞1型と2型の略)

この2つが、うまくバランスを取れてる状態で免疫が正常に働くんだけど、後者の液性免疫、すなわちTh2にバランスが傾いた時に、いろんな物にアレルギー反応を示して(またはそれと似た排除反応が起こって)炎症を起こしやすい状態になる。

元々は、Th1でもTh2でもない「T細胞」というものがあって、これがどちらかに分化する。

NH(ナチュラルヘルパー)細胞や、
NK(ナチュラルキラー)細胞もあるけど、
ここでは割愛。

そして最近わかってきたことは、そのTh1とTh2の分化を制御するのは、
『制御性T細胞=Treg細胞』
と呼ばれる細胞。そのまんまの名前だ。
この細胞が、免疫のバランスを制御するということ。
じゃあこれが体内のどこにあるかというと……

「免疫の半分以上は消化管にある」と聞いたことのある人も多いんじゃないかな。
そう、消化管にある。
このTreg細胞は、消化管に存在し、免疫のバランスを保っている。
そしてこの細胞が減った時に、そのバランスが崩れる。

じゃあ、どうしてこの細胞が減るのか。
そもそもこの細胞はどこから腸に来たのか。

2010〜2014年頃の東京大学理化学研究所の発見した事実によると、
クロストリジウム属の何種類かの菌株、その菌数が、制御性T細胞の数と比例し、腸管の透過性(=腸壁の厚みのこと)と関係してるとのこと。

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20101224-2/

http://www.riken.jp/pr/press/2013/20131114_1/

http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140711_1/


その他に、記事は見つからなかったけど、クレブシエラという菌もTh1発現に大きく関わってる。


クロストリジウムというと、産まれてすぐくらいの赤ちゃんの腸内細菌は、その80%がクロストリジウム属とも言われてて、大人になると0.1%にまで減るというから驚き。

出産時に、産道から赤ちゃんに経鼻・経口摂取され、母乳育児の間に菌が培養されると考えられてる。
そして離乳食を経て、運動習慣により免疫の基礎が構築される。

(コロラド大学の研究で、人生早期の運動習慣によって腸内細菌の増減、種類の変化が起きることもわかってる)


つまり、免疫=腸内細菌と言っても過言ではない。

脳だけが肉体の司令塔というのが常識だったけど、全身の細胞と相互に神経伝達物質のやり取りが行われてることが解ってる。自律神経や様々なホルモンのバランスも、原因ではなく結果になり得るということ。
免疫のバランスが崩れる・乱れるとは、言わば腸内細菌を殺したり減らしたりすることに他ならない。

これをマイクロバイオーム均衡崩壊と言う。

 

結論から言うと、僕たちの生活の中で菌減少や菌の勢力交代を起こす代表的で直接の(ダイレクトに影響を与える)根本原因は、大きく分けて3つある。

1.抗生物質の内服・投与
2.界面活性作用のある食品の摂取
3.受動喫煙を含む喫煙習慣

次いで、栄養過剰、運動不足や日光不足や食物繊維不足、抗酸化物質の過剰。

 


抗生物質の内服。
これはもう、ダイレクトアタック。
免疫不全まっしぐら。

妊婦さんが使おうものなら、出産時に産道で「良い菌」を経口・経鼻により赤ちゃんに分け与えるのに、その菌が居なくなる・少なくなる。
すると赤ちゃんの免疫は産まれた時から不全気味になる。
母乳からも菌の摂取が行われるはずが、母体が抗生物質を使用することによって、赤ちゃんの免疫は正常に形成されないどころか、母乳を介して薬品成分は赤ちゃんの体内へ。
免疫構築の阻害に追い打ちをかける。

そこにタバコがプラスされれば、状況は極めて最悪。
タバコを1本吸うだけで活性酸素が何兆個も増えて、細胞は破壊されるわ遺伝子は切断されるわ腸内細菌は死ぬわ、まさに地獄。

さらには、PUFA自動酸化という現象が起こる。

本来は体に有益とされるDHAEPAリノレン酸)までも、喫煙によってすぐに酸化されてしまう状態になり、リノール酸と共に、酸化すると過酸化脂質=炎症物質になる。

抗酸化物質の代謝にも異常を来す。

例えば、喫煙者にとってビタミンが毒になる。(これは、なぜか男女で性差がある)

 

大人でも深刻な影響のあるそれらが、まだまだ未熟な胎児に及ぼす害は計り知れない。
流産や、乳幼児突然死症候群のリスクの上位に、喫煙・受動喫煙が来るほど。

アレルギー、炎症、一直線。


アレルギーって言葉が出てきたから、次は界面活性作用とアレルギーの話を。
「三大食物アレルゲン」って知ってるかな。
卵、牛乳、小麦、この3つ。
この3種類にアレルギーを起こす人がとても多い。
次いで、大豆が多いかな。

最近は、大人でも食物アレルギーの人が多いらしい。
実は、これらのアレルゲンには大きな『共通点』がある。それは、

界面活性作用

スーパーやコンビニで売られてる加工食品の原材料名に、必ずと言っていいほど書かれているのが『乳化剤』という文字。

乳化とは、水と油のように、本来混ざらないもの同士の境界面を活性させて混ぜる働きのことを言い、正式には界面活性作用と呼ぶ。

しかも乳化剤に使われる原料には安全基準などがなく、外国産の遺伝子組み換えのものが使われてても問題にはならないから、薄利多売のために大量に使われてる可能性がある。


そして界面活性作用と聞いて思い浮かぶのは、石鹸や洗剤。
石鹸や洗剤は、界面活性作用そのものの物質。
油汚れを落として綺麗にする、いかにも衛生的な雰囲気のする物だけど、人体にとっては毒でしかない。

シャンプー、リンス、コンディショナー、ボディーソープ、入浴剤、化粧品各種、化粧落とし、ソープやクリームやローションなどと付くものは全て、保湿剤に至るまで、あらゆるものの基材として使われてる。

一方で、人間の体から出る老廃物は全て水溶性だから、それらは全く不要。
お湯のシャワーだけで綺麗になる。
むしろ石鹸類や化粧品類、シャンプー類を使うことによって皮膚のバリアも破壊されて、髪のキューティクルも溶けて、皮膚トラブルが起こる。
皮脂が増えたり欠乏したり、臭いの元になる菌が増えたり、炎症を起こしたり。


───話が逸れた。
こういう界面活性作用は、合成だろうが天然だろうがその効果に違いがない。
自然の食べ物にも多く含まれてる。
それが、先に書いたアレルゲン。
主に、卵、大豆、牛乳。

この界面活性作用のある物質は、レシチンカゼインサポニンカテキン、タンニン、などがある。
カテキンやタンニンと言えば、ポリフェノールの一種だけど、ポリフェノールというのは色素や渋味、匂い、灰汁のことで、まとめて抗酸化物質と言う。
つまり、抗酸化物質が豊富な食品には界面活性作用も含まれてる場合がほとんど。

ペットボトルのお茶を、おもいっきり振ると、ぶくぶく泡立つのはそういうことだし、お酢と油を卵黄レシチンで乳化させればマヨネーズになるし、バターには脂溶性の抗酸化物質のビタミンAが豊富で、色んなものを混ぜる時に卵と同じくツナギとして使う。つまり乳化作用が強い。
ちなみに、ビタミンのほとんどは、余分に摂取することで死亡リスクが増える。特に喫煙者。

特に、緑黄色野菜や鮭や甲殻類のカロテノイド色素(βカロテン、アスタキサンチンなど)は、ビタミンAに変化するんだけど、ビタミンAは脂溶性ビタミンで、線維芽細胞で代謝されて、マスト細胞を活性化させ、ヒスタミンを大量に放出させる。それが、全身の皮膚や粘膜の炎症を起こす。時に重篤な症状になる。

ただ、イチゴなどの色素はアントシアニンだから、その現象は起こらないはず。

 

話を戻す。

そもそも牛乳こそ、The 界面活性。
混ぜて固める、美味しいヨーグルトみたいなフル○チェがわかりやすい。
牛乳に含まれてる脂肪分と、フ○ーチェの水分が文字どおり「乳化」して作られる。

あと、チーズを手作りするとわかるけど、水溶性のカゼイン脂溶性カゼインがあって、それを分離させるのがチーズ作り。

うわずみの液体(ホエイ)がカゼイン水溶液。

沈殿物がチーズ。脂。

これもビタミンAが多く含まれてて、前述の現象が起こるから、注意が必要。

 

タンニンやカテキンはお茶。
その昔、鹿のツノをノコギリで加工する際に、切れ味を良くするために刃やツノをお茶に浸すといった使われ方をしてた。
これは、界面活性作用が、めちゃくちゃ固いツノでもその表面を溶かして柔らかくするから。

泡立つもの、ぬるぬるするもの、色素や渋味が強いもの、そういうものに、界面活性作用が多い。

界面活性作用は、たんぱく質の変性を促し、細胞を傷付ける。
つまり、僕らは日常的に、自分たちの体を破壊するものをたくさん体内に摂取してる。

胃酸や膵液で分解しきれないそれらが、空腸→回腸→大腸といった消化管に入ると、どうなるか。
免疫の源である腸内細菌の、細胞膜を破壊する。(細胞膜はたんぱく質)

そして菌が死ぬ。
それだけならまだ良くて、フローラと呼ばれる腸壁の粘液やバリア、実はあれも腸内細菌の集合体=塊で形成されてるから、根こそぎズルッと持ってかれる。

物理的なバリアもなくなり、防御する免疫も失われる。

食べた物、飲んだ物、荒れた腸壁からあらゆる物が血管に漏れ出して、血液を介して全身に遊走する。

アレルギーマーチ、血糖値の乱高下、コレステロールの乱高下、血圧の乱高下……まさに地獄。

そして、免疫が戻ってくると、体は「異物」を排出しようと必死になる。
それこそが、炎症。
ひどい炎症を起こして粘膜や神経が露出して過敏になる。
なんでも異物と判断して、体の内外、至る所で過剰反応しやすくなる、負のスパイラル。

 

乳化剤に関して、一番新しめで有用な情報は、Natureに掲載されたジョージア州立大学の論文。掻い摘んで意訳なされたサイトを見つけた。

http://aasj.jp/news/watch/2987

 


腸内細菌は、食べ物によって分解する役割が分かれてて、当然、肉や魚の動物性たんぱく質を分解する専門の菌が居る。
これらが「悪玉菌」と呼ばれてる奴らだけど、スカスカになった腸壁からこいつらが全身に巡って、炎症を起こしてる部位に自家感染したとしたら、たんぱく質を分解するわけだから、治癒を遅らせて慢性炎症になる可能性が高い。

さらに、動物性たんぱく質の過剰摂取は、同時に脂肪も過剰になってる場合が多く、肉に多いのはアラキドン酸という不飽和脂肪酸で、代謝するとTh2優位になりやすく、免疫反応や炎症反応が過剰になる。
結果的に、炎症を難治化させる。

それ以前に、アミノ酸まで分解されないまま、ポリペプチドが血中に漏出するから、ジャンクとして排出しようとして炎症を起こす。

植物油脂のリノール酸も、代謝経路としてγリノレン酸を経てアラキドン酸になる。こちらのほうが炎症は強くなる。

重ねて、食物繊維が不足してると、免疫のバランスを整えてくれる菌種がなかなか増えない=制御性T細胞が増えない。
Th2優位がずっと変わらず、腸のバリアも戻らず、炎症やアレルギーのお祭り騒ぎが延々と続いてしまう。


───以上が、後天性の炎症が関係する疾患全ての根本原因。あくまで仮説だけど、現時点であらゆる学術機関の論文、研究結果を数百以上を精査した限り、間違いなさそう。

 

そして現代の医療は対症療法だから、止めどない炎症をステロイドで抑圧して、排泄を邪魔する。

水面下で炎症原因は悪化していき、だんだんランクを上げていかないと効きが悪く感じるようになり、最終的にはステロイド内服やシクロスポリン、ネオーラルを使う他なくなる。

そうするとウイルスや菌に対して易感染状態になり、この段階に来ると「死」が見え隠れし始める。

「食べ物と薬」から始まった僅かな炎症が、盲目的にさらに薬を使うことによって様々な難病になっていく。なんとも複雑な心境になってしまう。

 

ただ、根本原因が解ったところで、大人になってから、それまでに殲滅してしまった菌のバランスを元に戻せるかどうかは、2018.04時点で不明。臨床研究段階。
それこそ、自身が胎児だった頃の母体の状態まで関わってくる、途方もない話。

成人後に、食事や運動や触れるものを徹底的に変えたとて、完全に元に戻せる保証は、今のところない。

それを踏まえた上で、免疫を取り戻せる可能性が高い努力の方法、根治の可能性が高い方法は…………

長くなったから、また次回。

 

 

↓続き↓

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